猫とシュークリーム

タイトルは筋肉少女帯の「カーネーション・リインカーネーション」から。

ヘッドフォンひとつで何か変わりそうな話

食わず嫌いの性格で昔から損をしている。

といっても、食べ物以外での食わず嫌いが多い。話題に上がっているものに対して「なんか気にくわねえ」とイチャモンに近い感情を抱く割に、実際に手に取ってみたりすると人一倍、その魅力に夢中になったりするのだ。音楽や漫画、デバイスに至るまでその対象に限りはない。つくづく面倒臭い性格をしていると思う。

スマホが台頭してきた時も「そんなものなくったって携帯で十分。ガラケーとか呼ぶな」と敵対視していたのに、今の職場に入ってからスマホが必須になり、数ヶ月後には自宅でパソコンを立ち上げる機会がめっきり減るという有様だった。

遡ってみれば、iPhoneで音楽を聴くこともしばらくは拒否していた。iPodの存在をないがしろにするのが自分自身で許せなかったのだ。それぞれの役割と存在意義を奪って、なんでも一つの機器で使えればいいってもんじゃない、と思っていた。充電も早く減るし。

要するに、頭が固いうえに天邪鬼なのだと思う。定番から外れることもしない、危ない橋は渡らない。おじいちゃんか。いや、今のご時世、おじいちゃんのほうが好奇心があってパソコンを始めたりアクティブに過ごしていたりするから、この例えはおじいちゃんに失礼だ。半端な若さで頭が固いのは致命的かもしれない。これはとんでもないことに気付いてしまったぞ。

仕事で飲食店や商品の記事を書いたりする時に、思わず使ってしまいそうになる言葉に「こだわった」「こだわりの」がある。素材にこだわる、製法にこだわる、店主こだわりの……。紙面でもCMでも多用されているお決まりの文句なので、かえって「こだわり」が使われていないと「こだわっていないのか?」なんて考えてしまう非常に面倒な思考回路をしているので、言葉にがんじがらめにされる。
しかし、以前ボスに原稿のチェックをもらった時に「あんまり こだわりの って使わないほうがいいよ。嫌がるオーナーもいるから」と教えてもらった。そのときは「そうなのか〜」くらいにしか考えていなかったのだが、こだわりをNGワードにしたことで表現の幅が広がり始めたのだから、ボスの指摘は相当な効果を持っていたということだ。
悪い意味での「拘り」は、捨てると気持ちがいい。

 

 先週、会社の忘年会のビンゴゲームでBluetoothヘッドフォンを手に入れた。
このビンゴゲームは社長がポケットマネーで商品を見繕って用意してくださるという大変ありがたい恒例行事で、ビンゴになった者から好きな景品を選べるルールだ。今年で3度目の参加なのだが、今までは空気清浄機、IHプレートとビミョウにストライクゾーンを外した家電をいただいてきていたので、今回お目当てのヘッドフォンをもらえたのはむちゃくちゃうれしかった。しかし、恥ずかしながら今までBluetooth機能のものを使ったことがなかった。仕組みもよくわかってないので、宴席ではしゃぎながらも『嬉しいけどどうやって使うんだ?』という不安もあった。

翌朝、顔も洗わずにいそいそと取説片手にiPhoneとヘッドフォンを接続。1分もかからずセッティング終了。ドキドキしながら再生ボタンを押して、流れ出した高音質の『パブロフの犬』に思わず「うおぉぉぉ!」と声が出た。控えめに言って感激しましたよ。

Bluetooth機能はとっても便利。今更言うことじゃないけど、本当に便利だった。
音楽はイヤホン(コード)でという自分の勝手な拘りを捨て、新しいものを取り入れたことで、なんとなくちょっと視界が開けた気さえする。
事実、「福袋なんてギャンブルはしない」と言い続けてきたのに、この数日で初めて福袋を予約するまでに変わった。とは言っても、福袋の中身がほとんど公開されているものだけれど、これは大きな変化だ。

『あんたは自分の良さをもっと出しなさい、変化し続けなさい』
飲み会の席で社長に言われ続けた言葉に1ミクロン近づけた気がする。奇しくも、社長がくれたヘッドフォンのおかげで。

なんか今日のブログ、いい話っぽくない?

 

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